過敏性腸症候群・IBS | 東京都国分寺市の多摩メディカルクリニック

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過敏性腸症候群(IBS)

症状・説明

過敏性腸症候群というのは、主として大腸の運動および分泌機能の異常で起こる病気の総称です。大腸内視鏡検査をしても、大腸癌や炎症性腸疾患など器質性疾患がないのに、腹痛と便秘や下痢が起こる病気のことです。
下痢や便秘などの症状は、健康な人でも起こりえるし、突然の腹痛に襲われるということも、さほど珍しいことではありません。下痢が一時的なものなら、さほど問題はないのですが、それを繰り返しているうちに、下痢が慢性化するケースです。慢性化するといつもお腹の具合が悪くなり、刺激やストレスに過敏になり、症状が悪化してしまいます。

「過敏性腸症候群は、夏には要注意です。体力低下、熱中症、急性胃腸炎、下痢を繰り返したりすると、症状が悪化・慢性化する可能性も十分ありえます。また冬は寒さで免疫力が低下します。お腹を冷やさないように注意が必要です。」
過敏性腸症候群は、大腸内視鏡検査をしても、器質的な異常が認められません。そのため適切な治療が行われず、症状が徐々にに悪化するケースも多いようです。

「過敏性腸症候群の症状は、下痢型、便秘型、下痢と便秘を交互に繰り返す交替型に大きく分けられますが、なかでも、10代、20代の男性に多く見られるのは、下痢型です。通勤電車の中で腹痛が起こり、駅のトイレに駆け込む、というのが典型的ですね。プレゼン、打ち合わせ、仕事中に便意に襲われ席を外すとか、車の運転中に腹痛に襲われ、コンビニにトイレに駆け込むケースもあるでしょう」
そもそも、なぜ下痢が起こるのかというと、口から入った食べ物は、胃に入り、胃酸によって消化され、それが十二指腸から小腸へと進み、体内に吸収される。その残りカスが大腸へと進み、適度な水分が吸収されたものが便となり、排泄される。ところが、何らかの原因で、大腸での水分吸収が十分に行われないと、水分量の多い便が排泄される、つまり、下痢になります。
過敏性腸症候群の場合は、大腸のぜん動運動が盛んになるため、腸の内容物の水分が十分吸収されず、下痢状態で排泄されるケースが多いようです。
便秘はその逆で、大腸のぜん動運動が減少することで、内容物が腸内にとどまる時間が長くなり、その間に水分が吸収されて、硬く小さな便となります。さらに、大腸のS状結腸という部分に異常な収縮運動が起こり、便がせき止められるため、便が出にくく、出てもウサギの糞のようなコロコロとした便になってしまいます。
下痢と便秘、症状は正反対だが、どちらも、腸の運動異常が原因と思われます。

RomeⅢによるIBSの診断基準
過去3ヶ月間、月に3日以上にわたって腹痛や腹部不快感が繰り返し起こり、以下の2項目以上がある。
  1. 排便によって症状が改善する。
  2. 発症時に排便頻度の変化がある。
  3. 発症時に便形状(外観)の変化がある。
排便状況によるIBSの分類
  • 便秘型IBS (IBS-C)
    硬便または兎糞状便が25%以上あり、軟便(泥状便)または水様便が25%未満のもの
  • 下痢型IBS (IBS-D)
    軟便(泥状便)または水様便が25%以上あり、硬便または兎糞状便が25%未満のもの
  • 混合型IBS (IBS-M)
    硬便または兎糞状便が25%以上あり、軟便(泥状便)または水様便も25%以上のもの
  • 分類不能型
    便形状異常の基準がIBS-C、IBS-D、IBS-Mのいずれも満たさないもの

過敏性腸症候群チェック

原因

過敏性症候群の原因はストレスと考えられています。
「腸と脳は、『脳腸相関』といって、密接な関係があります。というのも、腸には脳と同じ神経が多く分布し、それらは自律神経でつながっているからです。脳が感じた不安やプレッシャーなどのストレスは、自律神経を介して腸に伝わり、運動異常を引き起こします。また、下痢や便秘などの腸の不調も、自律神経を介して脳にストレスを与えます。
つまり、脳腸相関によって、ストレスの悪循環が形成されるのです。過敏性腸症候群の場合は、特に腸が敏感になっていますから、ちょっとしたストレスにも反応します。また、少しの腹痛でも脳は敏感にキャッチし、不安も症状も増幅していきます」早い時期に、自分で悪循環を断ち切ることができればいいのだが、毎日腹痛におびえるほど、症状が悪化してしまうと、セルフケアは難しくなる。

慢性化する前に早めに対策を

「下痢のような症状は、どうしても軽んじられやすく、患者さん本人も、周囲の人も、“精神的に弱いから”“体質だから”と決め付けてしまいがちです。そのため、市販の下痢止め薬などで、とりあえずの処置をしながら、だましだまし仕事を続けている人が多いのです。しかし、こうした自己診断は、時に危険な状態を招くということも、知っておいてください。放っておくと、不安神経症、うつ病など精神的な症状がでることもあります」
不快極まりない症状を一人で我慢してはいけません。ストレスフルな生活を改めろと言われても、簡単に仕事を変えるわけにはいかないし…ここはやはり、少し面倒でも医師の診察を受けたほうがいいでしょう。

日常生活のセルフコントロールが必須

過敏性腸症候群の原因はストレスだけではありません。
食生活や睡眠など生活リズムの乱れは、腸の症状にも大きく影響します。心身両面のセルフコントロールを身につけ、バランスのいい生活を送ることこそ、予防&治療の第一歩です。

過敏性腸症候群の治療として最も重要視されているのは、ライフスタイルや生活環境の問題点を改善することです。
もちろん、一朝一タに変われるはずはないが、睡眠、バランスのいい食事、適度な運動といった基本的なことをコントロールすることこそ、症状改善への近道と言えるでしょう。まずは、早起きを心がけ、朝食後に排便する習慣をつけることが大切です。一度トイレに行ったという事実が、通勤時の安心につながります。また、規則正しい食生活も、腸の健康には欠かせない。昼食、タ食が不規則になりがちなら、せめて朝食はいつも決まった時間に摂るようにしよう。タバコやコーヒー、アルコール、辛いものなど、刺激物の摂りすぎは、腸の正常な働きを阻害することがあるので、控えたい。食物繊維、ヨーグルトなどは多く摂り、善玉菌を増やしましょう。